【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 大学のグローバル化 前編
2014.01.15
2014.01.15
日英2言語の学内公用語化と授業の2言語化
日本語DPやスーパーグローバルハイスクールなどの取り組みにより、従来の『受験科目としての英語教育』ではなく『学習言語としての英語教育』が本格始動し、いろいろな科目を英語で授業を受けられる学生が増えてくればいよいよ日本の大学のグローバル化が本格化します。 海外での学習経験のない生徒でも(日本人学校卒業生は勿論のこと)高校終了時に、TOEFL80というのが目標になるでしょう。これは英語圏への交換留学※で、海外の大学の受講条件となっているスコアです。後述する日本の大学で開講されている英語による講座を受講し理解するにも、最低これくらいの英語力が必要となります。 日本の大学が急速なグローバル化に対応するには、日英2言語による学部教育が行われることが必須です。熾烈な国際競争の渦中にある日系企業の求める人材は日英2言語を自由に操りビジネスや学問を語れること…デュアルリンガルが基本条件になっていくからです(アジア各国の大学卒は英語と母語のデュアルリンガルであることがすでに常識です)。表『アジア主要国の平均TOEFLスコア平均の推移(2005~2012)と日本との比較』参照。 学内公用語を日英2言語にし、英語で講義が行われないと世界中から優秀な教員、研究者、学生を集めることがほとんど不可能になり、今後日本の上位大学にとって必須条件である『世界に開かれたキャンパス-豊かなDiversityがある学習・研究環境』を用意できなくなります(『日本人による日本語による日本人のためのキャンパス』という閉鎖的な空間では世界では生き残れません)。 この大学教育と英語教育の変貌は、日本語DPの最初の生徒が大学に入学する2018年から東京オリンピック開催予定の2020年ごろ(あと僅か5~6年後)を境に雪崩を打って起こると予想されます。先行するG5(グローバル5)
上智大国際教養学部、早稲田大国際教養学部、国際基督教大(ICU)、立命館アジア太平洋大(APU)、国際教養大(AIU)の5大学(学部)はG5と呼ばれグローバル人材を輩出する大学として、グローバル企業や社会の評価と人気が急上昇し、抜群の就職実績を出しています。国際マネジメント、比較文化、国際政治学等の分野の授業が英語で実施され、多くの学生が交換留学制度※を活用し、厳しい評価制度による単位を取得、英語の高い運用能力と豊かなグローバル体験を持っているためです。これらの大学はアドミッションオフィス(AO)方式の入試を採用、従来型の受験準備をした学生ではなく、目的意識が高くチャレンジ精神旺盛な学生を選抜しています。 ※交換留学:在籍の大学に籍を置いたまま交換提携協定を結んでいる大学に1年間留学、留学中取得した単位が卒業単位に換算される制度。(続く)
(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2014年1月号(2013年12月20日発行)に掲載された内容です。)