後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

『違うこと、変わっていることはいいことだ』 ① 

2014.02.06

?閉ざされた社会と開かれた社会
【多様性-Diversity】と【モビリティ-mobility】のこの2つがグローバリゼーションのキーワードになることはいろいろなところでお話してきました。 実は、この言葉、【多様性-Diversity】は【それぞれが違うこと、特異なこと】 、【モビリティ-Mobility】は【地球上どこにでも住んで働ける、フットワークがよくその範囲も広い】とも言い換えられます。 古代から日本(人)の社会では、同一性の高い集団による定住、農耕というライフスタイルが主流です。欧米文化の席巻した20世紀の近代化を経ても、定住、農耕というライフスタイルは現代にまで営々と脈うつ、最も心地のよい『暮らしのありよう』の原点ともいえるでしょう。この定住、農耕社会でも、その地道な努力、専門性の追及が、現在、世界中で最も信頼、賞賛される品質の高い農産物、海産物、畜産物、各種工芸品につながっています。同様に、日本のお家芸である工業技術、工業製品もまた、この定住・農耕スタイルから受け継がれている勤勉さ、研究心から世界の最高レベルの技術となっています。これらの技術の継承は、企業の作るハイテク製品や自動車、家電製品だけでなく、東京の下町にある小さな家族規模の町工場でつくる「一つのパーツ」にも脈々と根付いています。これらは日本人だからできる、また「その会社にしかできない」。すなわち「他の会社ではできない」技術ですが、最近では世界でも脚光を浴び、今、グローバルなビジネスの舞台に踊り出る中小企業が続出しています。 しかしながら、これらの農業、漁業、工芸 さらには世界に誇る工業技術等の技術も、家内制的工業として農耕社会の狭い、「閉ざされた社会」で継承されていきました。ほとんどの日本のムラ(共同体としてのして企業も)は「よそ者」に対しては「閉ざされた社会」であったといえます。 一方で、遊牧民は草原で馬の乗り、その日の食べ物を狩猟、移動可能な住居であるパオに住んで一族を養います。こうした遊牧民は、季節が変わるごとに、また、気象変化や状況の変化、勢力の変化に対応できるように、集団で移動を繰り返します。つまり、彼らは土地に帰属するのでなく、集団に帰属します。そのため、日々の生活では、その集団の中でその力を確立することが重要となります。集団の長(おさ)の最大のテーマは、一族の食糧と安全を確保し、戦って勝てる強い集団を率いることです。ご存知の平成の大横綱である白鵬は少年時代モンゴルの草原で足腰を鍛え、またその父はモンゴル相撲の大横綱でした。格闘技だけでなく、馬のレース等にて競い合い、その技を磨くことは、まさに集団の生き残り、種の繁栄のために不可欠な日々の鍛錬です。白鵬が「相撲界」という「集団」に力をもって君臨し、また、その相撲道=「集団」に恩返しをしたいと精進を重ねるのもうなずけます。  
雑種(ハイブリッド種)の強さと多様性
こうした遊牧民の集団は、常に分裂、統合され、言葉や風習の違う集団をのみ、のみこまれていきます。このことは、異質のものを受け入れ、「違うもの」とのコミュニケーションをすることが基本となり、そうした「スキル」が自然に根付く素地となるのでしょう。まさに、「よそ者」を受け入れ、言葉や文化も常に「さまざまな言葉」が出入りする「開かれた社会」といえます。(言葉については、仮に征服された集団であってもそれらの言葉は「育ての母」の言語が強く継承される傾向が強かったようです。) この「開かれた社会」では、「強い」ことが条件であり、同一性の高いグループというより、多様な人々の構成の中で、リーダーシップ、役割を果たすことが求められます。状況に素早く対応し、流動する社会、コミュニティの中で埋もれてしまわないで、それぞれの存在の価値を主張し、共存していく術が必要です。 こうして、「開かれた社会」ではグローバル社会と同様に、DiversityとMobilityが知らず知らずのうちにその中心原理となっているといえるでしょう。生物の世界でも純血種より雑種(ハイブリッド種)のほうが強く、その後の生存、繁殖する可能性が大きいと言えますが、まさに遊牧民の強さはこうした「開かれた社会」で培われたといえるでしょう。(続く)
ワールドクリエィティブエデュケーション CEO オービットアカデミックセンター 代表 ワールドスクエア 代表 後藤敏夫