後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

『日本の大学が変わる?!④』

2011.11.20

就職市場の激変…偏差値の高い大学卒が就職に有利とは限らない。
海外大学進学者が最近増えたとは言え、多くの学生は日本の大学を目指します。高校生の大部分は偏差値によって大学の格をはかり、少しでも格の高い大学に合格しようとします。一時代前までは、旧帝大系や早慶上智ICUの大学の経済・経営・法学系の学部をそこそこの成績で卒業すれば、かなりの確率で上場企業への就職が可能でした。ちなみに次のランクがいわゆるGMARCH(学習院・明治・青山・立教・中央・法政)です。 しかし、グローバリゼーションの大波の中で、偏差値の高い大学・学部と就職率の相関関係が崩れ出しています。特にこの2~3年で状況は一変しました。一部の学生はいくつもの会社から内定をもらう一方で、有名大学卒でも内定が一つももらえない学生が多くなってきています。 慶応義塾高校→慶応大学経済学部卒のT君に登場してもらいましょう。彼の成績は「上の下」でしたが、特許取得技術を多く持っているメーカーに就職が決まりました。「大学の就職部から聞く話と実際は大違い。どの企業へ行っても、面接まで残ってくるのは海外の大学と東大の大学院の連中が多い。」「海外大学の連中は当然英語ができるし、任地がどこでも良いという奴が多いからすぐ内定が出るんですよ。東大大学院の連中は意外に他大学卒、海外大学卒の人が多い。違う環境で勉強した彼らがセールスエンジニアとか国際マーケティングなどをやりたいというので内定が出やすいんだと思います。」「僕は慶応義塾に入ったのでこれで就職はほぼOKと正直思っていました。ところが現実はとんでもない。エントリーシートを数十枚も書きました。」そこへ「苦労したんだね?」と合いの手をいれると、「大学の名前は思ったより通用しません。単位はあらかた取ったので卒業前に短期留学して英語を勉強します。」「どんな部署にいきたいの?」「もちろん海外部門です。国内は仕事がどんどん減りそうですから。」  
厳しい昔ながらの学部・学科
偏差値が高くても昔ながらの学部・学科、たとえば経済・経営・法学系などで日本語だけで授業が行われているところ…これらに在籍する学生たちは、交換留学や自費留学等を試みたり、海外の大学院進学を目指したりしています。海外での学習経験を積んでいないと、多くの学生はエントリーシートの段階で落とされ、面接までたどり着けないからです。一方で、海外経験のない学生は放課後に専門学校等に必死に通い、エントリーシートに書ける内容を如何に豊かにするかで苦労しています。いわゆるダブルスクールです。 大手電気メーカーの海外人事統括の責任者であるK氏は語ります。「私は国立大学経済学部卒ですが、正直言って今の当社の入社試験を私が受けたら不合格ですね。大学卒業時点で英語で仕事上のコミュニケーションが取れること、これは最低条件。それに加えてアピールできる強みがなければ…。基本的に英語が共通語だから、仕事をする能力が高いのなら日本人である必要はありません。」「国内の市場はますます縮小傾向だから、国内でしか働けない人材はうちの会社には不要です。」  
英語で専門科目を勉強できる学部は強い
この未曾有の就職難にあって全体的に健闘しているのは、国際教養大学(秋田公立)、立命館アジア太平洋大学(大分県別府)、上智大学国際教養学部など、いずれも英語で専門科目を勉強でき、留学生が多い学部です。いわゆる「グローバル人材」に育ちやすい環境なので当然の結果でしょう。上智大学国際教養学部を卒業し、国際ファンドに就職が決まったI君。「他大学も合格しましたが、先生の英語のレベルの高さと優秀な留学生がいるので上智に決めました。勉強は結構しました。2年生のとき1年間オーストラリアのクイーズランド大学へ留学しましたがとても良い経験でした。そこにいたアジアの学生の勉強の仕方は半端じゃない。彼らに負けたくないから一生懸命勉強しました。」

(続く)

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫
 
?オービットアカデミックセンター会員情報誌「プラネットニュース」2011年1120号掲載