後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

『日本の大学が変わる?!⑤』

2011.12.20

 
社会の変化に対応しきれていない日本の大学
厳しい受験勉強を乗り越えて、せっかく難関大学といわれる大学に入学しても、2年もすればすぐに厳しい就職戦線が待っています。一時代前と異なり、難関大学入学が必ずしも安定的な就職への切符を意味しなくなりました。円高、人口減・超高齢化等を起因とした国内市場の縮小による新卒採用数の減少に加えて、社会(産業界)が必要とする人材と大学から輩出する人材に明らかなミスマッチが起こっているからだといわれています。
 
① 日本の大学ではグローバル人材が育ちにくい
主な企業が市場を求めて海外に展開し、企業幹部・管理職も多国籍化の傾向が強まるのに、海外で活躍できる人材(グローバル人材)や多国籍な職場で活躍できそうな人材が少ない。多くの大学では殆どの授業が日本語で行われ、海外からの留学生が少ない環境でこれを望むのはかなり難しいでしょう。
 
②    見直される採用基準
英語が堪能で各種専門知識を持ち、なおかつ、どんな任地にも赴任可能な適応能力の高い人材は、どこの企業からも引っ張りだこです。従来から偏差値の高い難関大学卒を多く採用する総合商社では、先進国なら喜んで赴任するが、発展途上国なら忌避する若手社員が増えているとか。新卒採用にあたっては出身大学の見直しや、英語が堪能で、ある程度日本語ができる外国人に切り換える動き等が活発化しています。
 
③    国際的な社会人としての各種スキルが身につきにくい
これまで企業はあるレベル以上の大学から教養と学習能力の高い学生を採用し、時間をかけて社会性・専門知識・その他の各種スキルを育ててきました。ところが近年、企業にはスタッフを長期に雇用し育成する余裕がなくなり、即戦力を求める傾向が強くなっています。ところが大学の教育システムは基本的に従来のままで、国際的な社会人としての基本スキルを養成するプログラムが殆ど組み込まれていません。大学側の教育システムが社会の変化に追いついていないのが実態です。
 
④    日本の企業を支えてきた専門性の高い人材が減っている
90年代以降のカジノ資本主義とも言える国際的投機マネーの跋扈(ばっこ)で、地道に技術を開発し品質にこだわる、いわば職人芸ともいえる技術に対する尊敬の念が薄れています。これは日本のお家芸とも言うべき強み。この分野の人材基盤が崩れるのは大きな問題です。専門領域や技術を勉強するよりも、利益に直結する極めて実利的なコースに優秀な人材が集中する傾向に警鐘を鳴らす企業人が増えています。
 
周囲に流されずしっかり自分の強みをつくる
この変化の時代にオービットの皆さんが目指すことは次の2点に集約されます。
 
①  自分の好きなことを見つけること。
寝食を忘れて没頭できることが見つかればしめたもの。『好きこそ物の上手なれ』で本当に好きなものは必ずモノになります。
 
②    好きなことが自分の強みになるかを冷静に見つめること。
他人がやっているから…という付和雷同的な考え方は愚の骨頂。他人ができないことがどれだけできるか?つまり差別化できるかが勝負の分かれ目になります。『あいつは変わっている!』というのは可能性があるということです。
(終)  

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫    

オービットアカデミックセンター会員情報誌「プラネットニュース」20111220号掲載