後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

英語学位プログラムとは④

2021.02.14

大学のグローバル化と法政大学

世界の大学のキャンパスのグローバル化

2010年ごろから、世界各国の有力大学が急激にグローバル化を進展させました。特に、非英語圏(ドイツ、スぺイン、オランダ、北欧諸国、(※1)シンガポール、マレーシア等)の多くの大学がキャンパスのグローバル化を推進させ、様々な地域から優秀な留学生を集めています。グローバル化したキャンパスの有無が、トップレベルの大学の条件になりました。

<キャンパスの7つのグローバル化>
①世界トップレベルの大学との交流、連携 →さまざまな共同プロジェクト、提携留学(交換留学等)
キャンパス内での英語公用語化(バイリンガル化) →公式文書、論文や掲示等の英語化(バイリンガル化)
英語学位プログラム(=英語のみで卒業できるコース)の増加
④外国人教員、英語による学位保持者の増加
⑤外国人留学生の受け入れ比率増加 →交換留学生・正規留学生受け入れ増加(外国留学生比率の増加)
⑥学生の交換プログラム参加比率上昇(提携大学への送り出し)
⑦活発な国際企業との共同プロジェクト
⑧外国人留学生が一定比率居住する国際学生寮の整備

「スーパーグローバル大学創成支援事業」とは

日本の文部科学省も、世界トップレベル大学との交流・連携を加速するための取り組みや、留学生の積極的受け入れ、学生のグローバル対応力育成のための体制強化など、国際化を徹底して進める大学を重点支援するため、2014年から「スーパーグローバル大学創成支援事業」と言われるプロジェクトを実施しています。

同事業には2タイプの大学があります。
▲世界レベルの教育研究を行う大学「タイプA(トップ型)」(13大学)
▲日本社会のグローバル化を牽引する大学「タイプB(グローバル化牽引型)」(24大学) 計37大学が採択され、徹底した国際化と大学改革を進めています。

果敢にグローバル化を進める法政大学

東京の私学・法政大学はグローバル牽引型(タイプB)に採択され、田中優子総長(2021年3月まで)の強力なリーダシップの下、徹底した国際化を推進。学部レベルでは、既に4つの英語学位プログラム(※2)(2021年1月現在)が創生され、留学生、日本人学生が英語でそれぞれの専攻科目を学んでいます。

GIS (グローバル教養学部) ……新時代のリベラルアーツ教育(定員100人)
GISは法政大学最初の英語学位コース。人類が抱える諸問題を英語で学び英語で考える、新時代のリベラルアーツ教育学部です。(2008年開講)

GISの学びの構造
<1年次基礎科目>
グローバルな学びに必要な基礎力――英語によるリテラシーを養成
?「Academic Writing」「Reading」(必修)
?「Debate & Discussion」「Presentation & Public Speaking」(選択)

<2年次~4年次>
従来の一般教養科目がなく、人文、社会科学、マネジメント、科学を中軸とした学際・領域横断的な科目を英語で学びます。地球規模の問題や文化現象を考えるには、領域にとらわれない分析と英語によるコミュニケ―ションが欠かせません。

<ナンバリングされた科目群>
法政大学では、すべての科目を、段階的に100~400のレベルに分類。レベル100を入門科目とし、レベル200でその知識を展開・応用します。さらにレベル300、400では最も専門性の高い内容を扱います。 科目の関連とレベルが明確に理解でき、自らの学習プランが立てやすくなっています。

<徹底的な少人数教育>
各科目の平均受講者は20人程度。グループディスカッションやプレゼンテーションなど、双方向の教育が可能です。少人数ゆえに教員と学生が1対1で対話できる機会も多く、一人一人をきめ細かにサポートします。

OAS(Overseas Academic Study Program)……海外の提携大学に学部留学
OASとは、2年次もしくは3年次に約4~10か月間、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランドの各協定大学で正規の学部授業を学ぶプログラムです。異文化理解を深め、国際人としてのコモンセンスも身に付きます。GISでは、参加者全員に一律50万円(短期)~100万円(長期)の奨学金を支給します。

※1 シンガポールの公用語 公用語はマレー語、中国語、タミール語、英語の4つ。実質的には英語圏と思われる。
※2 法政大学……4つの英語学位プログラム(2021年1月現在) ・グローバル教養学部 GIS ・人間環境学部 SCOPE ・経営学部経営学科 GBP ・経済学部 IGESS

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2021年2月号(2021年1月20日発行)に掲載された内容です。)