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アジア大学ランキングの意味 ⑤-14 日本の大学再びベスト10入りは可能か?

2018.08.05

国際化指標(国際学生比率、外国籍教員比率)の低い慶應義塾大学

 慶應義塾大学は3学部に特化して英語のみによる学位プログラムを実施しているので、二つの国際化指標(国際学生比率と外国人教員比率<いずれも実数比>)のポイントはどうしても低くなります。早稲田大学と比較すると国際学生比率が13.5%対6.5%。外国籍教員比率は12.8%対6.7%となり、数字の上からも遅れをとっています。

国際化指標を向上させるには

英語のみによる学位プログラムの他学部への拡大

 総合政策学部・環境情報学部や経済学部の実施経験をもとに、このプログラムを他学部にフルセット展開、幅広い選択肢を用意すること。国際学生のニーズが極めて高い生命科学、エンジニアリング、数理科学のSTEM分野とビジネス、国際会計等の分野は、コース設置が急がれます。

② 奨学金制度の整備

 今後、慶應義塾大学クラスの大学は、中国、韓国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)等の大学が競争相手になります。国際併願(※)する優秀な国際生募集成功の鍵は「奨学金制度の整備」です。国際生が目指す奨学金は「低所得層出身の学生の救済措置」というより、「優秀な学生の証」という意味合いが高くなっているので、奨学金が整備されていないと選択肢から外れてしまいます。

※国際併願:複数国の大学に併願、様々な条件を比較して進学大学を決定すること。

③ 外国籍教員の増員とその影響

 英語のみによる学位プログラムを他学部にも展開するには外国籍教員を従来以上に雇用することが必須となります。外国籍教員比率が向上するだけでなく、研究が各種ジャーナルに引用されるような外国籍教員が増えると、研究に関する教員間の刺激と競争が生まれ、論文の生産性(論文数/学部)や各論文の被引用数のポイント向上が期待されます。



続く