後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

アジア大学ランキングの意味 ④-5 韓国の大学校の国際化のステップ

2018.02.17

上位6大学校を中心に、7つのステップを踏んで急激に国際化しています。

① 【大学校進学前ステップ】・・・中高生の英語力アップ
『【英語による専門科目】を受講できる英語運用力獲得』が中等教育英語の主要目標の一つになっています。
ESL環境で早期英語教育をするために、富裕層子弟を中心に、幼児期からの英語圏、準英語圏(フィリピン)留学が拡大しています。「名門上位大学に進学するには留学が必須」との親の強い思いがこの傾向を推し進めています。


② 大学校教育のDLE(二重言語化)・・・【英語による専門科目】の拡大。
上位6大学校の学士課程では、すべてのコースが【英語による専門科目】を一定以上単位取得しないと卒業不可になっています。


③ 外国人、帰国韓国人教員の採用増加・・・教授陣の多国籍化によって多様性が拡大、【英語による専門科目】が設置しやすくなっています。外国籍教授陣の増加はランキング上昇の一因ともなっています。


④ 交換留学生の増加。
韓国人学生の交換留学比率の向上をめざす一方、外国人交換留学生数も増加するサイクルが順調に機能しています。


⑤ 学部留学生の増加 
交換学生だけでなく、学部留学生を増やすことにより、韓国人学生の国際化、大学全体の国際化を牽引しようと計画実施されています。第⑤⑥項双方ともランキング上昇に直結します。

⑥ 英語のリテラシーの高い国際レベルの研究者の大量育成 
DLE(韓英二重言語教育)を推進、英語で論文作成、議論するスキルの高い研究者を大量に育成、世界レベルの研究者を増やし、研究の質を高めます。

⑦ グローバル人材を志向する成績上位の学生が、これらの上位大学校で英語による専門教育を受けた後、修士課程、博士課程(PHD)はアメリカ、イギリス等英語圏のトップ大学という進路モデルが出来上がりつつあります。富裕層の学生に限られますが着実に成果を上げています。


韓国のTOEFL全受験者の平均得点が2005年72点、2015年84点。10年間で10点上昇しています。この得点は英語圏大学へ交換留学し、単位を履修できる条件のスコアを超えています。上位大学の学部学生は、90点代のスコアを持つ学生は珍しくなく、今後韓国では、DLE(二重言語教育)体制が整備され、大学の国際化が進んでいくでしょう。

これに対して残念ながら日本は、2005年65点、2015年71点。10年間で6点の伸び。大きく水をあけられ、DLE(二重言語教育)体制の整備は始まったばかりです。 

(続く)