アジア大学ランキングの意味 ② アジア各国の大学の競争の激化
2018.01.17
人材の供給基地としてのアジアの高等教育(大学・大学院)
今、アジアの有力大学に大きな注目が集まっています。これらの大学は国の大学・研究機関として重要な国家戦略の一環として位置づけられています。そのため、国家から潤沢な財政的援助を受け、積極的にレベルアップを図り確実に実力を向上させているからです。
AEC(アセアン共同体)を中核とする東南アジアの広域経済圏は、国際経済の中でますます存在感を増しています。日本を含む世界のグローバル企業が東南アジア諸国との合弁企業・現地企業を設立して、工場を建設、旺盛な各種インフラ需要に対応、投資を増加させています。堅調な経済成長に支えられ消費市場も大きく拡大し、AECのみならず南アジア諸国(インド、スリランカ、バングラディッシュ)にまでこの勢いは拡張して広域経済圏の広がりを見せています。
これらの地域ではどこでも活躍できる経営幹部候補や様々なマネジメント人材が求められています。こうした人材供給源になりはじめているのがアジアの有力大学です。
従来、留学生や研究員の行き先として圧倒的な存在感を誇っていたアメリカ、イギリスがナショナリズム色の強い、閉鎖的な文教政策をとり、影響力を相対的に低下させているのと相反して、アジアの有力大学は留学生や外国からの研究員を歓迎、受け入れ態勢を整備しG型大学の色彩を強め、研究・教育のレベルを向上させています。
アジアの有力大学進学のメリット
これらアジアの有力大学進学には大きなメリットを有しています。
1. 近隣国の様々な文化、経営風土や消費市場を直接肌で体験できる貴重な経験ができること。
2. 今後の成長が期待されるアジア地域に様々な人的ネットワークが構築しやすい。
3. 将来の発展をめざす国や場所でグローバル人材として期待されて職を求めることができる。
4. (世界中にネットワークを持つ華僑や印僑にとっては)近隣の国なので同じ地域に親戚・同郷出身の知己等が居住してケースが多く、様々な情報が入手しやすく、心理的距離も近く決心しやすく安心。
(続く)
表1:QSアジア大学ランキング2018