後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

激変する高等教育の環境 ⑦ 国際学生比率(国際学生数/全学生数) その5

2017.11.05

完全にテイクオフしたシンガポールの2+1大学

 シンガポール国立大学(NUS)※<15位> 27.2% ナンヤン工科大学(NTU)※<11位> 28.2% の2大学に加えて、2000年にビスネス・経済学等の専門大学として設立されたシンガポール経営大学(SMU)※<441-450位> 20.8% の3大学の人気が上昇しています。特に、アジア各国(アセアン共同体諸国、南アジア、中国、中央アジア諸国、韓国)の国際学生にとって、必ずしも英語圏のトップレベルの大学に進学しなくても、心理的距離の近いシンガポールで同等な高等教育が受けられることは大きな利点であり人気があります。

 またシンガポールは文字通りアジアのハブ、研究学術都市としても世界各国に認知されていて、この3大学の各研究機関に研究資金、奨学金等を提供する世界のグローバル企業が増えています。

 シンガポールの3大学は当初からG型大学を目指し、強力な政府の財政サポートと国家戦略の下、下記の4つの施策を講じ、早々とG型大学にテイクオフしました。高等教育G型化戦略の成功モデルになっています。

① 教育研究環境を集中的に整備したこと。 教育環境の整備?優秀な外国人教員の積極的雇用?各国の優秀な国際学生の獲得と優先順位に沿って着実に国際化を進め、徹底的にG型大学のブランデイングを推進しました。 ② 大学の周囲に多くの研究所を設置、グローバル企業を積極的に誘致したこと。 ③ 高い安全性を保持、国際学生、外国人教員が安心して生活しながら、勉学、研究に集中できる環境を作ったこと。University Townを旧キャンパスの脇に建設、学生や研究者のための寮が整備されたResidential Campusが2011年に完成しました。 ④ 世界大学ランキングの上昇を軸に、徹底的に大学のブランド化を図ったこと。

 例えば、シンガポール国立大学がアメリカのイエール大学と提携、2011年にNUS Yale Universityを前述のUniversity townに開校して世界中の注目を集めました。

図2:各国上位大学の国際学生比率の比較

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この記事は、シンガポールのコミュニティ誌『Singalife』10月12日号に掲載された記事を再編集したものです。