後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

『新時代の学びの評価軸』 PISA型教育とは③

2017.07.24

 来年実施される『PISA2018』では、3種類のリテラシーに加えて、4番目の新しい分野【グローバルコンピテンシー】が追加、導入されることが決まっています。

グローバルコンピテンシーとは?

 急速にグローバル化する世界で、様々な異なった文化背景を持った人々と共に学び、働き、共生するための必要な下記の能力のことです。 ・様々な地球規模の様問題に関する知識と理解 ・異なる文化に関する知識と理解 ・グローバルな問題に関する分析と統合的思考  日本においては、一部の地域や学校以外は、多様な文化背景を持つ生徒の共生については、クラス内での協働作業における評価の課題でないばかりか、また、学校教育における指導課題にはなっていません。しかしながら、移民や多様な民族の構成からなる国家、移民を多く受け入れている社会では、学びの場での国や文化、宗教が異なる多様な生徒との協働、共生が教育上の重要な課題となっています。これは先進国の社会生活の中でも喫緊の課題で、現に、グローバル企業では、既に最も重要な人事評価の基準の一つとして採用されています。  こうして『PISA2018』において、この「グローバルコンピテンシー」が追加、評価される必要性が出てきたわけです。そのため、日本の教育現場の中でもグローバルな舞台で活躍する子供たちが、身につけなければならない学習スキル・資質・能力として、取り上げられ、重要視されていくことが予測されます。

日本はグローバルコンピテンシーにおいては不利?

 この分野はこれまでの3分野と異なり、日本人が苦戦しそうな分野です。なぜなら、日本は、「島国」であり、「同質性文化」の伝統が長いため、「グローバルコンピテンシー」を育てるには極めて不利な環境と考えられています。 ①? 「島国」という環境は、異文化を背景とする人々と交流する機会や外国語を使う機会・必要性がほとんどありません。南方や北方の一部の地域でも「中央」への文化的同化を強く求めてきた歴史があることはご周知のことでしょう。 ②? 周囲の人と同じ感覚や意見を持つことが暗黙の了解であり、「同意しない」と村八分にされる「同質化を求める」風土が歴史的に続いています。(続く)

この記事は、シンガポールのコミュニティ誌『Singalife』6月8月号から7月6日号に5回にわたり掲載された記事を6回の掲載に再編集したものです。