9月に入って、QS世界大学ランキング2016-2017が発表されました。7月にはTHEアジア大学ランキングが発表され、日本の大学が軒並みダウングレードした結果に大きな衝撃が走りました。
※ http://world-edu.com.sg/column/global/
日本の大学は全く楽観できない。国際化がランキングアップの鍵!
今回の注目のQS世界大学ランキングでは、東京大学39位→34位、京都大学 38位→37位と双頭のフラッグシップの2大学は下げ止まりました。しかし、以下100位までを見ると、東京工業大学は昨年度と同順位56位、大阪大学58位→63位、東北大学74位→75位の3大学は苦戦しています。
●図をクリックすると自動的に拡大されます。
今年は、全体的に辛目の評価ポイントでしたが、
昨年同様の評価基準で判定されているので、比較的変動の少ない結果となりました。昨年度QS世界ランキングは論文文献・引用のデータベースを、ロイター・トムソンからScorpus (Elsevierが提供)に変更したため、ランキングが大きく変動しました。
●図をクリックすると自動的に拡大されます。
東大、京大は今回順位を上げていますが、実は各項目の獲得ポイントは下がっています。特に懸念されるのは 『外国籍教職員比率』(5%)『国際学生比率』(5%)という
2つの国際化の評価ポイントの低下です。日本の大学はSGU(Super Global University)等の大学の国際化向上の政策による取り組みを行っているにも関わらず、なかなか効果があがっていません。『国際学生比率』:東大 25.9→19.8 京大 21.4→19.6 『外国籍教職員比率』:東大 22.4→ 9.8 京大 17.8→14.6とポイントを大きく落としています。それ以下の日本の大学も苦戦しています。
QS世界ランキングの国際化度の2つの項目の比重は各々5%にすぎませんが、
外国人の教職者を多く招聘することにより国際化度の評価が上がると、連動して、論文著者の知名度向上、論文の共著率向上、グローバル企業からの研究収入向上、グローバル企業からの評価向上、ダブルディグリーや国際共同研究の提携数の増加、等に直結しますので、相乗効果は計り知れません。逆に国際科度の評価が低くなるということは、様々なマイナス評価が連動、定着してしまうので、看過することはできません。
更に、東大、京大は『各国学者・研究者の評価』、『学生数/教職員数』、『論文
被引用数』の評価ポイントが既に高いので、今後は 上記の『外国籍教職員比率』と『国際学生比率』の2つの国際化指標に加えて、
海外の『雇用者の評価』を上げることが、ランキングアップの鍵です。これは、【雇用者の評価】の項目は、大学が国内の企業から評価されるより、国外の企業から評価される方が加重評価されるからです。この評価軸は是非おさえておいていただきたい重要課題です。
大学受験が阻む日本の大学のテイクオフ
日本の大学がG型大学へテイクオフ(グローバル化)する条件は、言うまでもなく、学内公用語と大部分の授業が
民族語…日本語だけでなく英語を含めたDual Language 体制となることです。
優秀な日本人学生がすべての専門科目を民族語-日本語で勉強すること、外国人教員、国際学生が、日本語だけ研究することは一部の分野を除いては、グローバル世界の舞台での活躍から遠のいてしまいます。特に理工系、社会科学系の学生にとっては、今後、英語でコミュニケーションをとり、論文を書く能力、議論する能力が大学での基本スキルとなります。言い換えれば、大学に入学した時点でこのスキルをつけていることが入学条件になることが必須です。
東大、京大の2大学には国内から最優秀な学生が入学します。トップレベルの彼らが大学で
2重言語教育(DLE・・Dual Lingual Education)環境で高等教育の学業を修めることは難しいことではありません。
すなわち、入学前に彼らがマニアックな受験勉強に勤しみ、入学後も専ら日本語で専門科目の勉強に取り組んでいる現状から、入学前にDLEにてアカデミック英語スキルをしっかりつけて、英語で高度なアカデミックな学習やリサーチを国際学生と肩を並べて励むことのできるキャンパス環境を実現することは難しいことではないと考え言えます。才能豊かな学生の集まる東大や京大等の日本の最高学府がG型大学として高い国際評価を受けることは、技術論にて容易に解決できることと考えます。この技術論とは、中等教育から高等教育における2重言語教育(DLE)を、早急に実現させることです。
●図をクリックすると自動的に拡大されます。
(続く)