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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 2020年へのカウントダウンが始まった!

2015.02.15

2015.02.15
あけましておめでとうございます。 本年は日本の教育業界が変革に向けて具体的な動きが始まる注目の年です。一昨年以来、文部科学省等から矢継ぎ早に発表された教育大改革の概要が明確 になってきました。この変革は私達の予想をはるかに上回るスピードで進みそうです。昨年末の衆議院選挙で与党自由民主党が絶対安定多数を獲得したことで、 後述の変革の大きな節目である2020年に向けたカウントダウンが始まったといえます。

昨年10月に、大学のグローバル化推進の起爆剤になることが期待される大きなプロジェクト『スーパーグローバル大学創生支援』が始動し、専門科目を 英語、日本語の2言語で行うDLE(Dual Lingual Education)※の方向がはっきりと打ち出され、文部科学省が積極的に財政支援することになりました。

大学教育が変われば入学試験(入学者選考)の方法も大きく変わります。12月に中央教育審議会(中教審)は、従来の記憶力の優劣を問う大学入試セン ター試験に代わり、知識の活用力(PISA型学力や基本的リサーチ力)を考査する新共通試験『大学入学希望者学力評価テスト』の導入を答申。複数回受験を 可能とし、バンド評価(1点刻みでない成績評価)の導入をするとしています。英語は、国際的に認知度の高いTOEFL/IELTS等の外部試験を活用する など世界の潮流に合わせた方針に抜本的に変更、新テストは2020年実施を目指しています。この新テストは新中1のみなさんが高3になった時、初回実施と いうことになります。

大学入試変革に時期を合わせ、学習指導要領の戦後最大規模の改定が行われます(2018年先行実施、2020年全面実施)。特に英語と、目指す学力観の変革は抜本的です。
(1)英語教育の大きな転換
①小学5年生から正式教科として導入。
②読む、聞く、書く、話す、の4技能の運用能力を高めることが目標→『英語を学ぶ→英語で学ぶ』の一大転換。
③中学校では英語を英語で教える手法を導入。

(2)重視される学力を『知識の記憶整理能力、正解到達能力』から『知識の活用力(PISA型学力、リサーチ力)や発表能力、グループ学習能力』に転換。

(3)中学入試の大変化
①英語を入試科目にする学校が増加。 3教科(算数、国語、英語)あるいは、算数・国語+英語・社会・理科から1科目選択。
②英語の面接やエッセイを課す入試方式の増加。
③算数、国語、理科、社会の4教科入試ではなく、「理数分野」、「言語・文化分野」のような統合型科目を課す学校も出てくる。

既に本年度入試から英語実施を発表した学校が増えています。多くの学校では、従来型試験の得点力を訓練された生徒より、体験豊かでPISA型学力が高く、すでに英語の4技能の力のある生徒の獲得に重点が移っています。 いよいよ海外在住のみなさんが主役になる時代の到来です。

(続く)

※DLE(Dual Lingual Education)…2言語教育。グローバル化の進展で海外では主流になりつつある。特に高等教育は英語が主という潮流に。
(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2015年2月号(2015年1月20日発行)に掲載された内容です。)