後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 世界の大学教育の大きな変化 -5

2014.11.15

日本の大学教育①スーパーグローバル大学創生支援
アジア諸国、中近東、南アメリカ諸国等の成長地域において、大学進学率が急伸し、この地域からの海外留学生が急増しています。また、大学教育の急速なレベルの向上とグローバル化が進展しています。しかしながら、それに反して世界大学ランキングにおける日本の大学の低落傾向と日本からの留学生数の減少等に歯止めがかかりません。 こうした状況を打開すべく、文部科学省は日本の大学の国際競争力向上とグローバル人材育成を図るためのプロジェクト【スーパーグローバル大学創生支援】を開始しました。 ① 世界トップ大学との連携の実現 …ダブルディグリー(海外大学との共同学位)、編入制度の整備、交換留学制度の推進等 ② 英語のよる専門科目コースの設置 …学術・ビジネス共通語として定着した英語による授業だけで卒業できるコース ③ 留学生の受け入れ制度の整備 …優秀な外国人学生の積極的受け入れ、奨学金制度、学生寮の整備など ④ 優秀な外国人教員の雇用、受け入れ態勢と待遇の整備 などにより国際化と組織制度改革を徹底的に進める大学を財政支援するプロジェクトです。本年9月にトップ型※、グローバル牽引型※の2タイプ合計で37大学が採択され、重点的にこれらの大学に年間合計約77億円の財政支援が発動される予定です。①は学生のMobility(世界中どこへでも動ける、どこでも学べる、働ける能力)を向上させる制度的仕組み、②は専門科目を通じて共通語=英語での運用能力を上げる目的、③・④は学生、教員のDiversity(多様性)を推進し、学生のグローバルなネットワーク拡大を支えます。 採択されたいずれの大学も2018~2020年までにかなり野心的な目標を掲げ、文部科学省の支援を基に急速な変革を実施しそうです。いわゆる「良質なグローバル人材を多数輩出できるか否か」が日本も含めた世界各国の有力大学の存立条件となり、激しい大学間の国際競争が始まっているのです。「日本人の日本語による日本人のための大学」という閉鎖的な形を捨て、世界に開かれ、国際競争力の高い大学に変貌することが強く望まれています。 (続く) ※トップ型(世界大学ランキング100を目指す力のある大学) 東京大、京都大、北海道大、東北大、筑波大、東京医科歯科大、東京工業大、 名古屋大、大阪大、広島大、九州大、慶應義塾大、早稲田大 ※グローバル牽引型(これまでの取り組み実績を基に、更に先導的試行に挑戦し、日本の教育のグローバル化を牽引する大学) 千葉大、東京外語大、東京芸術大、長岡技術大、金沢大、豊橋技術科学大、 京都工芸繊維大、奈良先端科学技術大学院大学、岡山大、熊本大、国際教養大(AIU)、会津大、国際基督教大(ICU)、芝浦工業大、上智大、東洋大、法政大、明治大、立教大、創価大、国際大、立命館大、関西学院大、 立命館アジア太平洋大(APU) 参照元: http://www.jsps.go.jp/j-sgu/kekka.html (本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2014年11月号(2014年10月20日発行)に掲載された内容です。)