後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

どうなる?日本の教育  グローバル教育 NEWS TOPICS VOL5

2014.05.09

子供たちが成人する10年後の社会・企業を見据え教育を考える
前回(Vol.4)では、世界における日本人の英語能力の低さをデータでご紹介し、今後は、非英語圏高学歴の人々の英語力がさらに向上し、日本人の手ごわいライバルとして立ちはだかる現実をお伝えしました。
1「非英語圏で80台」が目安
こうした状況では、「非英語圏でTOEFL80以上」というのが今後の目安となりそうです。これは、はからずも英語圏の上位大学で交換留学時の単位を履修できる条件になっているスコアです。日本の平均スコアはここ数年で伸びましたが2012年にようやく70に達した程度で、残念ながら第3グループに属します。先進国としては問題外の低レベルです。 ちなみに日本の中堅~上位大学の学生のTOEFLの推定平均スコア(すべてIBT換算)は更に低く、50前後と言われています。中学1年生から10年間の英語学習の結果がこれでは、「交換留学で単位取得」やダブルディグリー制度を使った「2か国での学位取得」などは到底無理な話です。せっかく良い制度があっても、宝の持ち腐れでしょう。  
2 問題ない英語力 ~第2グループ各国の大卒者~
日本の一般的な大卒者を、仕事を問題なくこなせるレベルの英語の運用能力を有している第2グループ各国の大卒者と比べると、その差は歴然です。英語力が低く、多民族・多国籍のスタッフとの協働作業や取引先との交渉経験に乏しいため、国際企業では全く戦力になりません。グローバル化しなければ存亡の危機にさらされる国際企業や、国家のかじ取りを行う政府中央官僚の焦燥感が大きいのはうなずけます。 「英語の運用能力」というグローバル社会における重要な基本スキルの一つが、日本の大学を卒業しても養成されないというのは由々しき事態です。英語力が低ければ、異文化対応能力は当然高くならず、グローバルなネットワーク構築力は育ちません。有用な人材を養成、排出しなければならない大学にとって存在意義を揺るがす危機的事態なのです。 まずは日本人の大学および大学院卒業者の英語力のレベルを少なくとも第2グループ諸国並みに上げることが急務です。
ワールドクリエィティブエデュケーション CEO オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫
Spring 4月25日(2014年)号掲載