後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

どうなる?日本の教育  グローバル教育 NEWS TOPICS VOL3

2013.12.10

子供たちが成人する10年後の社会・企業を見据え教育を考える
日本語DP導入が日本の教育を変える
2015年から日本語によるIB(国際バカロレア・デュアルランゲージ・ディプロマ-略称日本語DP)を導入することが文部科学省と国際バカロレア機構の間で合意されました。去る10月には国際バカロレア機構に第一回候補校の申請が完了しています。日本の上位大学が入学選抜に日本語DPを考慮し始めると中等・大学教育に大きな影響がもたらされます。 大学入試センター試験に象徴されるように、知識をどれだけ正確に記憶しているかを一回の『入試』で測り、正解が一つしかない問題の解答技術を競うのが従来の学力観でした。 正確に、論理的に条件を読み取るか、正解が一つでない問いに自分なりの解答を説明できるかなど、『大学での研究や、現実世界の問題解決に直結する学力』(※発展型PISA型学力)が求められます。日本語DP導入は、文部科学省、自民党が日本の教育観全体を抜本的に見直す契機となるでしょう。 OECD3年に一回実施する国際学力到達度調査PISAProgramme for International Student Assessment)から  
中学・高校で日英2言語教育が進む
日本語DP導入は日英2言語教育が広がることも意味します。日本語DPでは、数学、英語は英語で学習しなければなりません。志望科目1つを加え、計3科目を英語で履修というのが平均的になるでしょう。『教育はすべて日本語』という大原則が変わるのです。 また、文部科学省はスーパーグローバルハイスクールという取り組みも開始。2014年度には全国の国公私立高校100校を指定し、教育のグローバル化の先進的取り組みに支援をおこないます。日本語DPを導入しなくとも数学、理科などの授業を英語でおこなう学校があらわれそうです。 さらに自民党、文部科学省は、海外の大学進学を推進、グローバル人材の育成に舵を切りました。海外の大学を希望する生徒のいる有名私立校や公立TOP校などで日本語DP導入または、英語による教科指導の検討が始まっています。 日本語DPを修了した生徒は一定の英語の学力(TOEFL80 程度)を持っているはずです。帰国生でなくとも、英語での講義を問題なく受けられるでしょう。 卒業後の就職や大学院進学、大学の多国籍化を考慮すると、日本の大学が英語による授業で好成績の取れる学生を歓迎する時代がついにやってきます。(続く)
ワールドクリエィティブエデュケーション CEO オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫
Spring 11月25日(2013年)号掲載