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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 英語教育が変わる 中

2012.10.10

2012.10.10
「共通語としての英語」⇒「英会話重視、文法軽視」という誤解
日本人学校生、インター校生にかかわらず、英語が最重要科目のひとつであり、受験科目としての英語から、世界共通語としての英語に重点が急激に変化しつつあることを先月号で述べました。 しかし、共通語としての英語・・実用的な英語学習に関しては大きな誤解があります。文部科学省の学習指導要領がコミュニカティブな英語を推奨していることから、「話せる」=「英語ができる」という短絡的な発想から抜けません。 英語学習とは、読む・聞く・話す・書くの4要素がバランスよく伸長するようでなければなりません。そのゴールは①英語で学習し、②共通語英語でビジネスの各種コミュニケーションがとれ、③英語で学術論文が書けるようなレベルになることです。 次のような相談をよく受けます。 Q1:インター校に通い始め英語が流暢に話せるようになったが、成績が一向に伸びない。 Q2:ESLからなかなか抜けられない。 Q3:Writing が問題といわれる。 Q4:英語を感覚だけでなんとなく理解しているといわれる。 ネイティブの生徒なら、家庭での会話やメディアから入ってくる英語、そしてコミュニティーから触れられる英語のコミュニケーションなど、学校以外から入ってくる英語学習によってこれらが補完されます。しかし、学校だけで英語を学習している日本人生徒の場合、補完学習によってこの差を埋め合わせる必要があるのです。個人差はありますが、言語の抽象化や構造理解が可能になる10歳以降なら、しっかりとした英語の基本構造理解・・文法学習を併用することをお奨めします。 但し、文法学習といっても、高校受験の問題集を先取りするような乱暴なことをやってもあまり意味がありません。文法問題を解くための学習ではなく、あくまでも英語の構造を正しく理解し、正しい英語を書くための勉強です。また、文法学習に加えて、各学習分野の語彙と各種表現を増やすことが望まれます。
ネイティブ万能論という誤解
「英語学習はネイティブに!」という決め付けも困ったものです。バランスの良い英語力を身につけるためにも、連携のとれたネイティブ・日本人講師の両方に習える環境がベストと言えるでしょう。

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2012年10月号(2012年9月20日発行)に掲載された内容です。)