後藤敏夫のグローバル教育情報

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【後藤敏夫のグローバル教育ニュース】 東大9月入学決定の衝撃 下

2012.03.20

? 東大9月入学決定のニュースを契機に色々なことが起ころうとしています。
社会の急変に対応できなくなっている日本の大学教育
グローバル化の急激な進展に対して、日本の各企業は教育機関より早い対応を始めています。特に海外に積極的に展開している日系企業は、東京大学を始めとする日本の大学が輩出する人材が急速に社会の要請に応えられなくなってきていると認識しています。  
日本の大卒の弱点①…英語が出来ない
東京大学の行った調査には「70%の学生が外国語(英語)でコミュニケートする能力が不十分だと回答した」と書かれています。日本の高等教育の頂点に位置する東大生がこの状態ですから、他の多くの大学は推して知るべしです。これは大学で学ぶ専門教科を英語で学んだ経験がないことから来ています。今や世界の各国のトップレベルの大学では、主要科目は世界共通語である英語で学べるようになってきているため、それらの大学卒と比較すると、英語の運用スキルに関しては低いことは明らかです。
日本の大卒の弱点②…内向きで未知の体験を忌避する
マスコミにも取り上げられているように、総合商社の若手社員が海外勤務(特に発展途上国)を忌避する傾向があると言われています。発展途上国=これからの成長地域で働けるというまたとないチャンスをどうして嫌がるのでしょうか?若い世代は未知の体験やリスクを回避しようとする傾向があります。ところが、グローバル化が急激に進展するこの時代、活発化する海外ビジネスは言ってみれば「想定外事態」に如何に対処するかが鍵なのです。  
日本の大卒の弱点③…異なる民族の中での適応力が低い
日本人の多くは「ふつう○○だね」といえば理解できる共通認識、「あうん」の世界の中で生きていこうとします。一方、海外に目を転ずれば「民族の数だけ常識がある」とよく言われます。例えば約束に関する考え方も民族によって異なります。インドや中近東の方とアポイントをとって指定の場所、時間に行ってみると来ない。「約束を守らないルーズな奴らだ」と日本人の常識で切り捨ててしまう。ところが彼等の社会では「先約という考え方」が薄く、「プライオリティ…重要度」が優先されます。彼等からすると「ことの重要性を僕にきちっとプレゼンしない君が悪い」ということになります。こうした私達日本人とは異なる常識を持った人々が、今後のビジネスのパートナーとなります。同質性の中で育った日本の大学の学生は、異なる民族に対する適応力が低いと言わざるを得ません。  
就業構造の激変…日系企業の対応
昨今、韓国・中国系等の外国企業に比べて日系企業の存在感が低下しているのはご存知のとおりです。主な原因のひとつは、グローバルビジネスに対応できる人材をうまく活用できていないことだと言われています。宗教・社会慣習がそれぞれ異なるアジア・中東・アフリカの成長地域でのビジネスの成否が各企業にとって極めて重要になってきています。こうした状況下、各日系企業は日本人純血主義を捨てる大きな方針転換を開始しました。 ポイントをまとめると、 ①??? 新卒一括採用の制度は崩していく。(国際的な採用制度に合わセル必要) ②??? 採用に当たってはグローバル人材を求める。国籍にはこだわらない。 ③??? 今後縮小する国内市場でしか働けない人材は歓迎しない。 ④??? 海外大学卒を広く採用する。 ⑤??? 本社機構を一部海外に移転、採用を海外でも行う方向に転換する。 ⑥??? 管理職の多国籍化は一層進め、役員も徐々にその方向に転換する。   オービット生の活躍の場がさらに広がる時代の到来です。

(終)

  ワールドクリエィティブエデュケーション CEO オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫 ? ?

?オービットアカデミックセンター会員情報誌「プラネットニュース」2012年320号掲載

2013年以降の掲載記事は オービットアカデミックセンターのWEBサイト グローバル教育最新情報 をご参照ください。