後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

地方のグローバル型公立大学の躍進②国際教養大学(AIU)

2020.08.15

国際教養大学(AIU…Akita International University )(秋田県秋田市/公立) 国際教養大学は、2004年に秋田県秋田市に開学した日本初のグローバル型のリベラルアーツカレッジです。わずか10数年間で、全国的に人気のある大学になりました。 <創学の理念と沿革> 「わが国の高等教育から失われた豊かな教養教育の確立と実践的な外国語コミュニケーション能力の養成を目指す大学を」とは、初代理事長・学長の故 中嶋嶺雄氏が語った理念です。 中嶋氏の強力なリーダーシップのもと、多くの資源(人・モノ・資金)を秋田市郊外に短期間集中的に投下し、単一学部二課程(国際教養学部…グローバル・ビジネス課程、グローバル・スタディズ課程)の単科大学が創立されました。 沿革 2000年4月 「国際系大学(学部)検討委員会」設立。 (委員長:元東京外国語大学長 中嶋嶺雄…近代政治学) 2004年4月 秋田市に開学。(初代理事長・学長 中嶋嶺雄:~2013年2月) 2006年4月 学部入学定員を100名から130名に増員 2011年4月 学部入学定員を150名から175名に増員 2011年9月 専門職大学院 開講 2014年9月 スーパーグローバル大学創成支援事業(グローバル化牽引型)に採択 極めてグローバルな学習環境を整備。外国人教員比率の高さ、県外出身の学生数比率の高さ、ユニークなプログラム等が国内外から高く評価されています。

Ⅰ.AIUの環境(2019年4月1日現在)

1.学生数: 871名(男性約35%、女性約65%)(うち正規留学生数22名) 2.秋田県外高校出身の学生数(県外高校+海外+大検): 741名 約85% 3.受入交換留学生数: 30カ国・地域から151名 4.派遣留学生数: 36カ国・地域へ173名 5.提携大学数: 50カ国・地域195大学(2020年4月1日現在) 6.専任教員数: 58名(うち専任教員外国人比率53%) 7.学生数と専任教員数の比: 14:1 8.図書館開館時間: 24時間365日(学生・教職員向け) 9.在学中の英語力向上:入学から1年後のTOEFL ITP? TESTスコア(※)平均点563 (2019年4月入学の学生、2020年3月現在) ※1 TOEFL ITP? TESTは、ペーパー形式の団体向けテストプログラムのこと。

Ⅱ.社会の評価

1.THE 世界大学ランキング日本版 2020年度 総合…10位、教育充実度…1位、国際性…1位 2.大学通信キャンパスナビ 『卓越する大学2020年度版』 グローバル教育に力を入れている大学 …1位 『卓越する大学2020年度版』 小規模だが評価できる大学…………………1位 『有名企業400社に就職率の高い大学ランキング』 …………………………3位

Ⅲ.教育(コンセプトとカリキュラム)

AIUは、アメリカの小規模リベラルアーツカレッジをモデルに創設されました。 (1)徹底した英語による国際教養教育(授業はすべて英語)。 (2)EAP(English for Academic Purpose )少人数英語集中プログラム……………<1年次> 英語運能力により4レベルのクラス分け ・EAPⅠ?EAPⅡ?EAPⅢ?EAPブリッジプログラム 9単位以上 <1・2年次> ・EAPブリッジプログラム (英語ができる学生の英語集中コース)3単位以上 <1年次> (3)新リベラルアーツカリキュラム 124単位 ①基礎科目群 リサーチに必要なスキルを習得する科目 30単位以上<1・2年次> 必修科目・選択必修科目・選択科目 (ライティング、アカデミックリーディング、コンピュータリテラシー、グローバル研究概論等) ②教養基盤科目群 31単位以上<1・2年以上> 外国語(6単位以上)、社会科学(6単位以上)、人文社会(6単位以上)、日本研究(6単位以上)、自然科学(4単位)、数学(3単位以上) ③教養専門科目群…3つの専門領域と7つのクラスター(2021年度より再編成) ▲グローバル・ビジネス領域…ビジネス/経済学 ▲グローバル・スタディズ領域…グローバル社会/政治学と国際関係論/サステナビリティ ▲グローバル・コネクティビティ領域…人、文化とコミュニケーション/科学技術と文化創造 (4)1年間の留学(全員必須) AIUと互換性のあるプログラムを持つ200の大学(50カ国)のいずれかに留学。(AIUで学ぶ、クラスターと接続する提携大学に留学。) アジア…43大学、ヨーロッパ…74大学、北アメリカ…65大学、南アメリカ…3大学、 オセアニア…12大学、アフリカ…3大学          計 200大学/50カ国 (5)学生宿舎での留学生との混住(全学生の約90%がキャンパスに居住) テーマ別ハウス…24時間のリベラルアーツ教育 学生宿舎は、生活の場としての「生活寮」のみならず、寮生活の中でリベラルアーツ教育を行なえる「教育寮」の機能を導入しています。日本人学生と留学生とがハウス(=学生宿舎)で1学期間の共同生活を行い、それぞれのテーマに基づいた活動に取り組んでいます。 ≪2019年度のハウスのテーマ≫ 日本自然文化ハウス/フィットネスハウス/ロシア(スラブ)言語文化ハウス/英語教育ハウス

(続く)

(本記事は、オービットアカデミックセンター会報誌 プラネットニュース 2020年8月号(2020年7月20日発行)に掲載された内容です。)