後藤敏夫のグローバル教育情報

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QS新興大学ランキング2018 ④ ベルギーの言語事情

2018.08.26

 ヨーロッパは風雲急を告げています。ナショナリズムとエスノナショナリズム(少数民族の独立、分離運動)の嵐が吹き荒れ、EUの中核であるドイツにおいても移民排除の動きが収まる気配がありません。

 大学をめぐる状況も大きく変化しています。そんな時代でも、世界的に認知度の高い高等教育を受け、コンピテンシーの高い学生・研究員は国籍を問わず、どこの国の企業や研究所からも引っ張りだこです。

 複雑な民族、言語事情をかかえるベルギーのような国は、高等教育では逆に優位性を発揮します。多様性(ダイバーシティ)の高さと多言語状況は、教授陣、研究員、国際学生を募集する点で極めて有利です。また、イノベーションを生む学際的で、独創的な先端研究は、多文化、多言語の議論の衝突の中でこそ生まれやすく、成果を大きく育てることができます。

国内に2つの宗教地域、3つの公用語を抱えるベルギー

 約2,000年前、南にあったローマ帝国が急速に勢力を拡大、北上し現在のベルギーの国土の南半分を占領したことからベルギーの歴史が始まったと言われています。国土の北部がゲルマン系文化圏、南部がラテン系文化圏。更には16世紀の宗教改革で、現在のオランダの地域が主としてプロテスタント、ベルギーがカトリックに留まった歴史があります。

 ベルギーでは現在、地域によってヨーロッパの3つの主要言語(オランダ語、フランス語、ドイツ語)を公用語として使用しています。北部はオランダ語(フラマン語)、南部はフランス語、北東部の一部がドイツ語地域です。首都ブリュッセルは、オランダ語、フランス語の混在地域。オランダ人と同様、この3言語+英語を使える人が多く、主なEU政庁舎が置かれています。

(続く)