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QS世界大学専攻分野別ランキング2015 解説記事:数理科学コース編

2015.06.15

Mathematics(数学)専攻が今、注目されています。

ここ最近までは、大学で「Mathematics(数学)専攻」といえば、純粋数学-フィルマーの定理の証明とか非ユークリッド幾何学とかを研究するかなり特殊な世界というイメージが一般的でした。実際、この分野のトップの研究者には数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞が授与されます。日本人も過去、小平邦彦、広中平祐、森重文の3氏がこの最高峰のフィールズ賞を受賞しています。
また、従来、数学科修了者の就職先は上記のような研究者(大学教授)か、高校や中学の教師と相場は決まっていました。
しかし、2000年以降あたりから、数学科周辺をめぐる評価が変わって来ています。中でも、純粋数学ではなく応用数学(Applied mathematics)とか数理科学(Mathematical sciences)といわれる数学的知識を他分野に応用することを主眼に置いた分野が際立って脚光を浴び始めました。 従来からの工学(エンジニアリング)の応用は言うに及ばず、近代経済学、経営工学、金融工学、心理学、暗号理論、人工知能理論、ビックデータの解析に至るまで数学の応用適用分野と重要性はますます大きく拡張しているためです。
そのため、今や数学的知識が豊富でその活用法を知っている学生は世界中で引っ張りだことなっています。 今回はこのMathematics(数学)の専門分野で注目されるコースを有する大学を紹介しましょう。 *日本の大学では理学部数学科と呼ぶことが多いようです。

カリフォルニア大学バークレー校(UCB)  専攻科目別6位 総合26位

USA州立大のトップは西海岸サンフランシスコ郊外に位置する伝統のある大学のカリフォルニア大学バークレー校です。極めてアカデミックでリベラルな学風で有名です。純粋数学から各種数理科学まで幅広い分野の世界トップレベルの研究者・教授陣に恵まれ、最高の研究環境が用意されています。微分幾何学と位相幾何学での業績で著名な故小林昭七氏が長年教鞭をとっていたのがカリフォルニア大学バークレー校です。(元カリフォルニア大学バークレー校名誉教授)故小林教授が指導した多数の研究者が現在数学学界で活躍しています。

シンガポール国立大学 (NUS)  専攻科目別12位 総合12位

世界中から注目を浴びている数学のエリート教育の地、シンガポール。 生物化学、各種工学、経営学とともにシンガポール政府がNUSを数理科学研究の戦略的に研究、教育の拠点にしています。特に応用数学の各分野に強みがあり、全面的に英語で授業が行える利点を生かし、多くの国から優秀な研究者、教授陣と学生を集めています。アジアの大学で断然トップの12位。アセアンのハブというポジションと政府の強力な後押しと先進国の産業界との関係強化が着々と発展していますので当分この勢いは続くでしょう。

オーストラリア国立大学(ANU) 専攻科目別31位 総合19位

南半球のトップは何といってもオーストラリア唯一の国立大学ANU。 首都キャンベラにあるこの大学は大学院生が7割という落ちついた環境。政府の財政的、人的支援のもと、純粋数学からオペレ-ションリサーチ、金融工学、ビックダデータの解析等の数理科学の最新の研究教育拠点として、高いレベルの研究と実績を残しています。

サンパウロ大学(Universidade de São Paulo) 専門科目別51-100位 総合143位

 ブラジルのサンパウロ大学は南アメリカで最もプレステージが高く、7つのキャンパス13学部9万人の学生を擁する総合大学です。この大学の数学コースは 主な教授言語がポルトガル語にも関わらず50か国以上から留学生を集めています。南アメリカの数学、数理科学研究の中心の一つ。ブラジルのみならず南アメリカ諸国の全域から優秀な教授陣を集めています。

数理科学修正


(続く) 次回は獣医学分野【Veterinary Science】を取り上げます。

※「QS世界大学専攻分野別ランキング2015 解説記事:数理科学コース編」は、世界大学評価機関「Quacquarelli Symonds(QS)」が公表している「QS World University Rankings by Subject 2015」のデータに基づいて、記事作成、編集しています。

>QS世界大学ランキング2015/16はこちら。

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO
オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫