後藤敏夫のグローバル教育情報

ニュースレター

後藤敏夫のプリズム分析 スーパーグローバル大学(SGU)の衝撃②

2015.03.08

アジアや中近東の経済発展は理工系専門大学のグローバル化を牽引する

SGU-英語による授業の割合の目標数値から見えるもの

前回述べたSGUの課題の一つである<英語による授業の割合>の目標数値の比較から各大学の数年先の姿を見てみましょう。
2013年現在、英語のよる授業が全学の20%以上ある大学は、SGU採択37大学中、国際教養大(AIU)と立命館アジア太平洋大学(APU)の僅か2大学のみです。(大学教育の殆どが【民族語‐日本語】で行われるという鎖国的状況をよく表しています。)
10年後、2023年時点の目標数値が20%を超えているのは、37大学中14大学にすぎません。その中で、いわゆる総合大学で20%を超えているのは金沢大、京都大、九州大、早稲田大、広島大、東洋大、上智大の7大学。なかでも北陸地方のグローバル大学教育の拠点たらんとする金沢大の目標数値50%は抜き出ていて、注目を集めています。

トップ型1

トップ型2SGU3

SGU4

 

理工系専門大学の国際化に期待

一方で、理工系専門大学の高い目標が目立ちます。福島県の公立会津大はIT技術の分野でレベルの高い教育を行っていて、産業界の評価急上昇中ですが、2023年の目標は50%。地方公立大の国際化発展モデルとなった国際教養大(AIU)の理工系版というところでしょうか。豊橋科学技術大は90%以上の授業を英語化しようと計画しています。芝浦工大、長岡技術科学大の目標値はそれぞれ34.3%、30%です。理工系専門大学の一気にグローバル化を図る強い意志が見えます。
一方国立の総合大学は規模、学生数、クラス数が多いため、目標数字には大きく反映されていませんが、様々な国際化は理工系学部から進み始めています。北海道大、筑波大、東京工業大等の改革の動きが速いようです。 実際、海外でも理工系専門大学、理工系学部は国際化への躍進が目立ちます。特に、シンガポール、UAE(アラブ首長国連合)、香港等の理工系大学、学部の多国籍化が進み、大学の世界ランキングも上がっています。

『STEM』は世界的に人気

近年世界各国で人気の専門学科は『STEM』・・Science(科学)Technology(技術)Engineering(工学 )Math(数理科学)と言われ、アジア、中近東等の経済成長の著しい地域において国際共通語‐英語による理工系大学教育の需要は増すばかりです。
ビジネスの世界では日本の競争力低下が叫ばれていますが、科学技術の世界では、日本の技術力は依然高い評価があります。SGU構想で掲げた、英語の講義の割合の目標数値を達成すれば、海外の人気大学に伍して、多くの海外の優秀な学生を集める先陣となるチャンスが高い理工系専門大学や総合大学の理工系学部に大きく期待しています。

(続く)

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO
オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫