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国際バカロレアデイプロマプログラム(IBDP)と教育のグローバル化

グローバル教育解説

2015.06.27

IB拡大の背景と教育のグローバル化

 日本では、海外で働くビジネスマン、研究職の激増やグローバルビジネスの急速な拡大が、大学教育のみならず中等教育でのグローバル化を強く要請しています。親が世界中どこで働いていても、子弟に「多文化、多民族が混在する多様性の高い環境で、レベルが高いグローバルな教育」が必須になってきました。企業活動、研究活動が国境を超える状況で、国家の枠を超えたグローバルなカリキュラムとして国際バカロレア(IB)への期待が大きくなってきたのも必定と言えるでしょう。

共通語となった英語(共通語英語+民族語)

 グローバル化の進展とともに共通語である英語の使用人口が急増していることも、国際統一カリキュラムとしてのIBDPが拡大している一つの遠因でしょう。2014年時点で 英語を第一言語にする人口は約4 億人で20年前とほぼ同じです。しかし英語を第二言語として使う人口は約14億人。その人口は、ますます増えるといわれています。しかし、多くの日本人生徒は、第二言語のレベルにさえ達していないのが現状です。この傾向を受けて旧来の英語圏だけではなくヨーロッパ、アジア、南アメリカ、中近東等で大学教育の英語化が急速に進んでいます。日本でも、文部科学省が主導するスーパーグローバル大学創生支援プロジェクトが開始され、現在37大学が採択され、授業の英語化、外国人教員と留学生比率の向上等を目標に動き始めています。
 アジアの一部の発展途上国では、中等教育段階から民族語と共通語としての英語の2言語教育(DLE:Dual Lingual Education)が拡大しています。大学で英語による専門教育が受けられるようにすることが目的です。

国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)はなぜ高く評価され、拡大するのか?

評価が高まるIBDPの大きな優位性は次の4点です。
①情報公開と明確で一貫した評価基準
IBのカリキュラムや試験の内容など、ほとんどすべての情報が公開されています。また、最終試験は毎年2回の世界一斉に実施されるので非常に公平です。大学の入学者を決める大学アドミッションオフィス担当者にとって、大学進学課程IBDPの公開ポリシーは極めて重要です。大学入学希望者を選考する場合、志望者のIBDP履修科目と最終試験の結果にて、志望者の学力判定が容易にできます。また、志望者の合否データを集計すれば世界中の大学間のアドミッションポリシーや合格基準の比較ができます。これとは対照的なのが、従来の日本の大学入試です。大学ごとの個別性が高く、大学によっては文部省指導要領に準拠しない出題も多くみられます。

②特定の国家カリキュラムに依拠しないグローバルな内容
IBは特定のイデオロギーや国家の文教政策とは一線を画し、単一の結論、回答を求める手法を取りません。解決の難しいグローバルな課題に対応できる統合的手法をトレーニングする高度な内容が多く、大学進学後のリサーチワークに対応できる有効な学習スキルがつくことは、多くのIBDP履修者の大学での結果がそれを実証しています。

③母語(民族語)の尊重とバイリンガルディプロマの高い価値
IBDP履修者は学習言語(英語)と第二言語を学習することになり、IBDPカリキュラムは第二言語では母語(日本人の多くは民族語としての日本語)の学習を推奨しています。母語のリテラシーは自らのアイデンティティーを保持するために必須のスキルという考えに立っているからです。
 学習言語が英語、日本語が母語の場合、通常English B(外国語レベル)とJapanese A(母語か同等レベル) を履修する生徒が多いですが、英語の能力が高くEnglish A:Language & LiteratureとJapanese A(両科目とも母語か同等レベル)を履修して、パスするとバイリンガルディプロマが授与され、評価の高い資格になります。このバイリンガルディプロマの授与はIBが優れたグローバルな言語教育の考え方に立脚していることの一つの特徴です。先に述べた2言語教育(DLE:Dual Lingual Education)の普及が進むにつれて、このバイリンガルディプロマの資格は評価が高くなり、就職時にも有利になると思われます。

④世界の上位大学入学のプラットフォームとしてのIBDP
 以上の理由から、年を追うごとに、IBDPに対する世界中の大学の評価と認知度が上がっています。グローバルシフトをしている世界大学ランキングの100位くらいまでの大学ではIBDP履修者の合格数が増えています。事実世界各国の上位大学のアドッミションオフィスにとって、入学後好成績を期待できるIBDP高得点者の獲得競争になっています。更に、多くの国の大学では、その国の国家カリキュラム修了者より、IBDP修了者の方が優先される例が多くなっています。グローバル型の上位大学進学のためのプラットフォームとしてのIBDPの地位はすっかり固まったと言えそうです。

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO
オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫
Spring6月25日号掲載

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