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QS世界大学専攻分野別ランキング2015 解説記事:ビジネス・経営学コース編-1

グローバル教育解説

2015.11.26

最近の経営学の主流は、アカデミックな経営学コースでなく極めて実践的なMBA等の専門大学院となっています。分野でいえばマネジメント一般から、ファイナンス、国際税務、マーケティング、HR(人材マネジメント)、技術管理、異文化マネジメントまで広い範囲がその対象です。また受講対象は大学学部課程の学生から中堅ビジネスマン、エグゼクティブまで様々なコースが生まれています。2年以上の実践経験を条件とするコースも多くあります。こうした流れの中、ビジネス・経営学のランキングは他の分野とはかなり違う様相を呈しています。

ビジネス

大学格でないビジネス・スクールが学位を授与、大学との競争が激化

従来、学位の授与は大学の【専売特許】でしたが、大学ではなく、トップビジネス・スクール、いわば専門学校がこの市場に参入、上位にランクインしていているものもあります。それらのビジネス・スクールでは、極めて実践的演習が中心となり、教授陣もグローバルビジネスの最前線で活躍した人材がスカウトされ、MBA(経営学修士).MiF(ファイナンス専門修士)等修士以上のコースを主な対象にしています。修士号だけでなくPhDも授与され、ランキングの高いビジネスクールの場合、国際社会でもプレステージの高い学位と認められます。こうした背景の中、これまで以上に経営学の分野では年々、実践的傾向を強め、激しい競争が起こっています。

1-50位のランキング上位でもUSA,UKだけでなく各国への分散化傾向が進む

100位までの大学数を見てみると、経済成長の著しいアジアを中心にスエーデン、デンマーク等北欧、スペイン、イタリアの南欧、オランダ、チリ、ブラジル等の南米 更に分散化の傾向が顕著です。従来のUSA,UKの大学中心だった傾向が様変わりしています。
【グローバルな領域での活動】が大きく拡大、グローバルな基準での行動様式・価値基準の習得の需要が強まっていることがうかがえます。

国別ランキング大学数

日本の頂点の東京大学でも51位-100位にランクされ、日本の大学は残念ながら50位以内にはランクインしていません。

何故、ビジネス・スクールの世界がホットなのか? 背景の説明をしましょう。

グローバルなビジネスにおいては複数の専門をもったパイ(π)型キャリア(学歴)重視へ

一時代前とは異なり トップのビジネスマンの最終学歴は完全に修士以上になりました。
エンジニアや研究職で活躍するには、PhD取得が必須条件ですが、グローバル企業の上級マネジメントのポジションに就くための最終学歴は専門分野での大学院修士修了以上が条件です。その上、業界のトップマネージメントを目指すのであれば、まずできれば自然科学、工学、生命科学系で修士以上を取得、その後、ビジネス、ファイナンス、TOM(Technology of management)等の専門大学院にて資格を取得することが求められます。

グローバル企業の中位以上のマネジメントでは、このような複数の専門を持つパイ(π)型キャリア(学歴)を持つ人材が主流となりつつあります。

事実、グローバル企業のエリート社員候補たちの多くは、グローバル型大学の理工系の修士課程以上を優秀な成績で修了、入社しています。その後、彼らは企業の費用で世界ランキングにのっているトップレベルの大学やビジネス・スクールにて更なる研究、資格を取ることを求められます。

前途有望な社員をこうした複数の専門(強み)をつけさせることで 人材育成に投資することがグローバル企業の人事戦略の一つとなっています。テクノロジーの急激な発展は、R&D(Research & Development)、製品(商品)評価とマーケティングを企業発展の重要な鍵にしました。グローバル企業の上級マネジメントは革新的イノベーションがもたらすマーケットや業界の変化を予想し、開発投資の可否を決定しなければなりません。グローバルな視野と科学技術に関する深い知識をベースにして実践的マネジメントを熟知している人材の需要がますます拡大しています。

アメリカ型リベラルアーツではなく、複数の専門(理工系の知識+マネジメント+第三言語 等)を持った学歴を今後重視していく政府の政策も頷けます。(ただし、この政策は中等教育または、大学進学準備課程にてリベラルアーツをしっかり修養することが条件となりますので、中等教育カリキュラムの大幅な変更なくして大学からリベラルアーツ(教養学部)を排除するのは早計短慮です。排除する大学側の良識にも疑問符が付きます。)

各世界大学ランキングでリサーチの強い専門大学の評価が高くなっているのもこうした時流に大きく関連しています。グローバル企業のみならず、シンガポールとはじめとする新興国には、医学博士を含む理工系の修士以上とビジネス・スクールの学歴を持った国家公務員が多いことに驚かされます。グローバルな視野をもち科学技術に関する深い認識と知識を持った官僚たちが、国家が直面する多様な問題を解決する任に当たるというのは自然な方向だと思われます。新時代に必要なゼネラリストの概念が大きく変化していることを今後注視する必要があります。

活動の2極化とビジネス・スクールの隆盛

急激なグローバルの進展は、次のような活動の2極化を推し進めています。

グローバルな時代におけるビジネスの活動形態は【グローバルな領域の活動】と【ローカルな領域内の活動】のこの大きな2つのまったく異なる環境、論理によって動き始めました。

グローバルな領域の活動は世界中ほぼ同様な論理で動きますが、ローカルな領域内の活動は、従来(古来)からのそれぞれの地域性、文化背景、歴史等によって全く異なる論理で動いていきます。グローバルで極めて実践的なビジネス・スクールの隆盛はこの流れと不可分の関係にあります。

グローバルな共通の行動様式・価値基準の習得

この分野の各コースでは専門科目の学習・リサーチをすることになりますが、価値観や文化背景の異なるローカルなビジネスの様式ではなく、グローバルな共通の行動様式・価値基準の学習に重点が置かれます。優秀な教授陣の指導の下、それまで習得した専門性と様々な経験を持った、多国籍のコース履修生が学び議論することで グローバルな行動様式・価値基準の共通語というべきものを習得して行きます。

英語がビジネスの共通語となる必然

ビジネスのグローバル化が急激に進展するなか、英語で情報収集、自らの意見を表現し、発信するということが共通のプラットフォームになりました。特にAEC統合前夜の東南アジア、南アジア等の地域のグローバルビジネスの英語化は急激です。旧ソ連の中央アジア諸国(以前はロシア語が共通語でした)でも同様の傾向が起こっています。現在、ネット上の情報の7割以上が英語であるという事実もこの傾向を加速させています。

こうした中で、ビジネス・経営学のコースの学習言語が英語に切り替わっていくのは至極当然の結果です。QSランキングこの分野では上位50位以内にランクインした大学の多くが、非英語圏にあるのにもかかわらず英語による授業が前提となっています。

コース履修生、教授陣との人的ネットワーク構築が魅力

トップクラスのコースを履修した後、グローバル企業で活躍するビジネスマンにコースの履修をして良かった点を聞くと 殆どの人が【グローバルな人的ネットワークができたこと】を上げています。ランキングの高い大学・ビジネス・スクールには優秀な教授、学生、グローバル企業の幹部社員が集まりますので、その意味で特にこの分野ではランキング上位のコースに入ることは将来に向けて極めて大きなメリットがあります。

(続く)次回はビジネス・経営学【Business & Management Studies】コース編-2を取り上げます。

※「QS世界大学専攻分野別ランキング2015 解説記事:ビジネス・経営学【Business & Management Studies】コース編-1」は、世界大学評価機関「Quacquarelli Symonds(QS)」が公表している「QS World University Rankings by Subject 2015 – Business & Management Studies」のデータに基づいて、記事作成、編集しています。

QS世界大学総合ランキング2015/16はこちら。

ワールドクリエィティブエデュケーション CEO
オービットアカデミックセンター 代表 後藤敏夫

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